活動記録

| nakagawa

涼夏の札幌で未来の都市設計を考える

今年の札幌は久しぶりに涼しい夏。といってもここ数年の「北海道らしくない」猛暑ではないというだけですが…。一方で、本州は酷暑と猛烈な雨による被害が相次いでいます。
先日の千葉県では、千葉市で1時間115mm、6時間293mmという観測史上最多の雨量を記録。
その数日後には東京、埼玉を中心に豪雨被害が発生しています。

これまでの都市は、雨が降れば「下水道で流す」、雪が降れば「除雪して運ぶ」、暑くなれば「冷房でしのぐ」というように、それぞれの問題に個別に対応するインフラを整備してきました。
しかし、これからの都市づくりは、それだけでいいのでしょうか。
今は比較的涼しい夏を過ごすことのできる札幌ですが、気候変動の波を先回りして、少し先の未来を考えていく必要があると思います。

例えば「道路」です。
道路は単に車や人が移動するための空間ではありません。
近年は、雨水を地中に浸透させる「透水性舗装」が進歩しているようです。
一方、積雪寒冷地では、地中熱や下水熱などを利用した融雪技術や、熱を伝えやすくする舗装材料、さらには舗装そのものを発熱させる技術の研究も進んでいます。
これらを別々に考えるのではなく、夏は雨を受け止め、冬は雪を融かす「ハイブリッド道路」として考えることはできないでしょうか。
透水性の高い舗装の下に雨水を一時的に貯留できる構造を設け、集中豪雨の際には下水道への流入を抑える。
冬には地中熱、下水熱などの未利用エネルギーや高熱伝導舗装を活用して、交差点、横断歩道、バス停、地下鉄出入口など必要性の高い場所を効率的に融雪する。

そして道路だけではありません。
街路樹や公園、道路植栽などの緑を、単なる「景観」ではなく、雨水を一時的に受け止める「グリーンインフラ」として再設計していく。駐車場や公共施設、再開発地区などにも透水・貯留機能を持たせていく。
そうすれば街全体が、巨大な「雨水の受け皿」になります。
例えばMICEで再開発が計画されている中島公園は、豊平川のほとり。水害を見据えた透水・貯留機能強化は市の中心部全体を守る重要な視点だと考えます。単に経済性のみならず、危機管理などの視点をも加えた検討を望みたいところです。

もちろん札幌では、透水した水の凍結や凍上、舗装の耐久性、除雪との両立など、積雪寒冷地特有の課題があります。
だからこそ、「豪雪にも、豪雨にも、暑さにも強い都市」を研究してみる価値があるのではないでしょうか。
雪国だから雪対策だけを考えるのではなく、雪対策に必要な技術を起点として、気候変動時代の都市インフラそのものを複層的に再設計する。
道路更新や再開発の機会を捉えて、小さな実証実験から始め、透水・貯留・緑化・融雪・未利用エネルギーを一体化していく。
そんな「札幌型・気候適応都市」をつくることができれば、札幌の弱点と思われてきた「雪国」であることが、むしろ新しい都市技術を生み出す強みになるかもしれません。

涼夏の札幌から、50年先の都市の姿を考えていきたいと思います。