活動記録
| 中川 賢一
ヒグマ対策に北海道犬が有効?
このところ大都市札幌でも連日ヒグマの目撃が絶えず、不安の日々を送っている市民が少なくありません。
札幌市議会でもこの問題がクローズアップされていますが、動物愛護の観点や法制度、ハンターの減少・高齢化などもあって、有効な手立てを講ずることができていません。
先日、私が会長を務める「天然記念物北海道犬協会」の創立50周年行事があり、過去の活動の歩みなどが紹介されましたが、それらを見て改めて驚きました。
当協会には現在300余名の会員の元、380頭ほどの北海道犬が登録されています。
しかしピーク時には会員2,600名余り、4万頭以上の犬が登録されていたようです。
これらがいろいろな理由で近年急激に減少し、我々の周りから北海道犬が消えていっています。
北海道犬といってもあまりピンとこないかもしれませんが、南極物語のタロとジロ、近年ではソフトバンクの「白戸家お父さん」と言えばお分かりかと思います。
かつては「アイヌ犬」とも言われ、非常に忠誠心が強く、熊にも果敢に向かっていく気質から、開拓期の人々の生活に欠かせない存在でした。
開拓農家に生まれた私の父なども、子どもの頃飼っていた北海道犬がクマに激しく吠え追い払う様子を見たことがあるそうで、「北海道犬に守られて育った」とよく話していました。
おそらくかつては野生動物と人間との接点で重要な役割を果たしていたのでしょう。
猟友会などのハンターさんも、「クマが人慣れしてきたと言われているが犬のことは本当に嫌がる」、と北海道犬の有効性を認めています。
近年、社会環境が大きく変容する中、いろいろな理由で北海道犬が飼いづらい環境となり、その数も激減しました。
こういったことも、ヒグマが人里に近付きやすい背景になっているのかもしれません。
ヒグマ対策として、北海道犬の再度の普及が有効なのか?
北海道犬協会の会長としてはそういった可能性にも期待し、保存と普及に向けて理解促進に努めていきたいと思います。
【天然記念物北海道犬協会HP】https://www.doukenkyou.com/