活動記録

| 中川 賢一

まちができる。美しいまちが

3月6日(日)の北海道新聞朝刊に「再び聖火はともるか」という記事が掲載されていました。

「『町ができた』その次は」という興味深い見出しのこの記事は、1972年の前回五輪によって地下鉄や高速道路などの都市機能が一気に整備され、札幌の人口拡大の景気になったと伝えています。

「町ができる。美しい町が」と歌われた「虹と雪のバラード」が当時のワクワク感を象徴しているとも記しています。

前回招致が決定した1966年、当時の原田市長は「これでまちができる」とコメントしたそうです。

私も原田元市長のご著書を読みましたが、戦後のどん底から這い上がり、新しいまちを作るための「壮絶な挑戦」だったことが、「まちができる」という短い言葉に込められているように感じます。

そして、その市長の思いが美しい歌となって、50年経った今も当時の高揚感を伝えているのだと思います。

翻って、今回2030年に向けた招致。

先日3月2日に秋元市長から発表された「2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会概要(案)」には大会ビジョンがこう記されています。

「札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピック ~ 人と地球と未来にやさしい大会で新たなレガシーを ~」

このビジョンは市民に何を語っているのでしょうか?

世界に向かって、札幌はどういう未来像を示しているのでしょうか?

私には正直よくわかりません。

ただ、歯の浮くような言葉が並んでいるだけで、オリンピックを通じてこの街がどうなっていくのか国内外の人たちにどんな役割や幸せを提供する街になろうとしているのか、全く見えないと感じるのは私だけでしょうか。

次のオリンピックを目指すのなら、歯が浮くような「祭典」演出ばかりでなく、具体的な未来像やメリットを示していかないと、市民には伝わらないかもしれません。

現在、招致の是非などに関する市民アンケートが行われている真っ最中です。

秋元市長はじめ市の関係者には、オリパラという「イベント」のことや大会経費縮小のことばかりではなく、具体的な「未来ビジョン」を語ってほしいと期待します。